卒業式①

卒業式

昨夜から色々と

交渉がなかなか進まず、
朝には強引な手法で引き釣り出しに成功。

主役が居ないとどうしようもないということで、昨夜にいっぱいメールのやり取りをしてました。2人相手に並行しながら。

おめでとう(一部フィクションです)

そんなわけで、校舎に入ってきました。スーツやら袴を着た学生の中を私服で。

間違いじゃありませんから。
スーツで来なかったからとはいえ、卒業生ではありませんから。

冷たい目で見ないで。警備員さん。

私服で入り口を何度もうろちょろしていれば、目に付くでしょうな。
いやぁ、場違いな雰囲気を醸し出してるけれども、気にしたら負けなので、無視です。無視。


待つこと数分。
卒業者がだらだらと出てくる中、友人を探すことに。

「どれだよ。おい」
「出口2つあるから、あっち見てろ」

いやぁ、出てくるのはどれもおんなじようなスーツの男ばかり。
正直、わからない…。



あ、一人違うの見っけた。

『あれだ』

違う…。違うよ…。
この前あったときと違うよ。こんなの○○じゃないやぃ…。

印象がかなり違って見えました。
スーツだからなのか、髪を切ったからなのかは定かではありませんが。

満面の笑みを浮かべた彼が一言。

「おめでとう」
『なんでやねん』

待ってた二人組みは揃って、引っぱたきました。
卒業式だってのに、彼の頭はボケてます。いかれてます。時々、身悶えてるのではないかと思うときもあります。

「じゃ、卒業記念に写真撮ろっか」

そう言うと、頑なに拒否されました。
カメラ出そうものなら、引っぱたいてきそうでした。
あくまで殴るのではなく、引っぱたいてきそうでした。

その辺、よくわからない…。

何を言ってるのか意味不明だけれども、写真を撮られるのは嫌だそうで。
どこまで本気なんだかわからないけれど、

「魂取られるから嫌」

その一言で最後は片付けられました。

この人、いつの時代の人なんでしょう?
やっぱりおかしいのは確定的です。もう逃れようもない事実となりました。




雨が降りしきる中、3つの傘が並ぶ。
黒、紺、黄土色。…黄土色? ……黄土色。

長い長い旅路の始まりです。
一人は靴擦れを。
一人は左腕だけ酸性雨に浸食を。
一人は混乱を。

彼らが無事に旅を終えたのかどうか。
もしかしたら、どこかでまだふらついているの……かも。